「取引」(シリアス)

A・・・・(男、組織から安全に抜けたい)

B・・・・(男、Aが持っているデータを確保したい)

(場面設定)

ビルの屋上。Aは逃げたものの、Bに追い詰められた。Aには飛び降りる選択肢がある。Bの背後に入り口。二人の距離感はまだ詰まっていなくても、ほぼ詰まっていてもよい。


裏切り者(青年)×戦闘員(青年)

A「取引をしよう」

B「取引? そんなことが言える立場か?」

A「言えるさ。これなんだ?」

B「お前いつの間に持ち出したんだ」

A「大事なものなんだろう?」

B「取引の内容を聞こう」

A「簡単だ。俺を逃がせ」

B「見返りは?」

A「これを渡す。好きにするといい」

B「お前がバックアップをとっていないとも限らない」

A「信じるか信じないかはお前次第だ」

B「ではデータを渡せ」

A「俺を逃がすのが先だ」

B「持ち逃げされても敵わん」

A「俺を信じられないのか?」

B「同じ台詞を返すよ、裏切り者」

A「そうか、じゃあ先に渡すよ(データの入った記憶装置をBへ投げる)」

B「なっ!」

A「じゃあな!(屋上の柵を越え、飛び降りる)」

B「待て! ……嘘だろ」


スパイ(少年)×教育係(青年)

A「取引をしようよ」

B「取引? そんなことが言える立場か?」

A「言えるよ。これなーんだ?」

B「お前いつの間に持ち出したんだ」

A「大事なものなんでしょ」

B「それで、何が望みだ」

A「簡単だよ。俺を見逃して」

B「俺には何の得がある?」

A「これを渡す。悪くない話でしょ」

B「お前がバックアップをとっていないとも限らない」

A「俺を信用できない?」

B「組織から抜け出すような奴は信用できない」

A「ふうん、相変わらず組織のイヌなんだね」

B「なんとでも言え」

A「じゃあ、取引は不成立?」

B「いや、どちらにせよそれは返してもらう」

A「そうか、じゃあどうぞ(データの入った記憶装置をBへ投げる)」

B「なっ!」

A「じゃあね!(屋上の柵を越え、飛び降りる)」

B「おい! ……どこまでも勝手な奴だ


研究者(青年)×組織幹部(老年)

A「取引をしませんか」

B「取引? まだそんな口を利ける立場だと思っていたとは」

A「少なくともこれがあるうちは、そうじゃありませんか?」

B「貴様、いつのまにそれを」

A「これが外部に漏れたら大変でしょう?」

B「して、取引とは? 身の安全か?」

A「そうです」

B「しかし、ここでそれを受け取ったとしても、貴様が別に予備を保管していては元も子もない」

A「逆にあなた方が逃がしたあとで俺を追いかけてこないとも限らない」

B「このままいくと互いの主張は平行線のままだな」

A「俺は俺が安全である限り、これを漏らすことはないと保証します」

B「その言い方では、確実に余所にもコピーがあるな?」

A「(笑う)」

B「裏切り者の保証を信じろと?」

A「ここで俺が死ねば自動的に外部へ流出させるようになっています」

B「儂を脅すか」

A「信じる理由が難しいなら、逃がす理由をご用意するまでです」

B「一時凌ぎに過ぎんぞ」

A「一時(いっとき)でも凌げれば上等」

B「これより一本だけ儂は煙草を吸うことにする。置き土産を残して去れ

A「恩に着ます」


やり方など

・AとBのどちらが優位であるか(A・B共通)

・AあるいはBは連れて行って欲しい、もしくは引き留めて欲しい(A・B共通)

・AあるいはBが所持データの重要性を把握していない場合(A・B共通)

・Aが実はデータを所持していない(Aの場合)

・AはBに対して技量、あるいは組織内地位において劣等感を抱いている(B共通)

・BはAに戻ってきて欲しい(Bの場合)

・Bはデータの確保に失敗した場合、死ぬ(Bの場合)

・Bは拳銃を所持しており、いつでもAを殺せる(Bの場合)


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