A「何も知らないんです、『解除キー』なんて聞いたことない」
B「ただ忘れてる、っていう可能性はないかなあ?」
A「忘れるも何も、本当にわからないの」
B「もうやめない? さっきから、わからないわからないって」
A「だからどうしようもないじゃないですか」
B「聞こえないの?」
A「何?」
B「もう無理だって言ってるのお。これ以上、話しても無駄だよねえ?」
A「もう家に帰りたい」
B「それはあなた次第だねえ」
A「早くこの腕についた……、(外そうと力をこめる)、外したいの」
B「外すのは簡単」
A「え、」
B「『解除キー』、思い出せば一発。まあ思い出せないとしても、ここには道具がいっぱい揃ってる。いくらでもやりようはあるでしょお」
A「そんな細い刃物で、コレを切り落とせるわけがありませんよね」
B「コレは無理だよねえ」
A「コレ『は』って、他に切れそうなものは思いつきません」
B「何度も言うけど、『わからない』。本当に『わからない』の」
A「もうお互い時間の無駄じゃありません?」
B「聞き方を変える? そしたら思い出すかもぉ?」
A「私、本当に困るんです。明日、彼とデートの約束があって。ああ、きっととても心配をかけてしまいます」
B「彼ぇ? じゃあ、その彼に助けてもらえば」
A「何を言ってるんですか」
B「それだけ仲がいいならきっと『助け合える』でしょお?」
A「ここに彼を呼ぶなんて。彼、本当に心配性なんですよ」
B「うんうん、じゃあその彼がここに来たら、彼も心配はなくなるよねえ」
A「彼がここに。やめて、これ以上心労を掛けさせないでください」
B「どうして? ここでデートをすればいいでしょう?」
A「死んじゃいますよ」
B「それって誰の話ぃ?」
Aの役とBの役、いずれもが尋問をする側、受ける側を担えるような遊び心を込めた台本。配信等での使用を想定したもの。同じ台詞回しなのに二回目に聞くと違う台本に聞こえる! がコンセプトなので、そこそこに要求される演技レベルは高め。採点源の疑問符しか配置していませんので、必要に応じて付加してください。台詞の各キーワードの意味合いを言外に言い合う形になるので、読解力も試されます。必要に応じて耳元で囁くなど、距離感や緩急の工夫もしやすいはず。道具を取りにいく動きや、実際に道具を空振りするなど動きも自由度が高い。
・Aが尋問される側(本当は解除キーを知っている)
・Aが尋問される側(本当に解除キーは知らない)
・Bが尋問される側(本当は解除キーを知っている)
・Bが尋問される側(本当に解除キーを知らない)
・「コレ」は手錠のような「外す」のが目的のもの
・「コレ」は腕輪のような「回収」が目的のもの
・彼は高い戦闘能力を有している、あるいはただの一般人。
・腕についた「コレ」はA、Bどちらの腕についている?