「肝試し」(かぶせ台詞)

A・・・・(ホラー好き女子高生)

B・・・・(お金好きな女子高生)

(場面設定)

 放課後の会話


ホラー好き×お金好き

A「ねえ、あの話知ってる?」
B「却下」
A「まだ何も言ってないでしょお」
B「いいわ。聞かんでもわかる。アンタがそういう顔してるときは大抵ろくでもないときよ」
A「そういう顔ってどういう顔よお?」
B「パンケーキの表面に雪のように降りかかった粉砂糖を集めて人の形にして、ふにゃあってニッコリマークにしたみたいな」
A「さすがお目が高い」
B「はぁ?」
A「今回お持ちしましたのは、トンネルの壁に浮かび上がる人面」
B「あー、人命救助ね、大切だものね人の命は尊い」
A「人の顔」
B「朝顔。ちょうど時期だもんねえ。ウチの三軒隣のササヤマさんちの庭先のが見頃で」
A「見頃といえば、トンネル工事でごろごろと出たらしいよ。死体」
B「舌切り雀。あの話は名作よね。あなたは我慢が効かないから、だめよ、大きいのを選んじゃ」
A「大きい葛籠(つづら)からは魑魅魍魎がざっくざくだもんねえ。あ、バケモノだらけといえば、あのトンネルもね」
B「全面封鎖!」
A「ちょっと何よぉ。さっきから話の邪魔ばっかりして」
B「だまらっしゃい。トンネルだけじゃなくてアンタのお口も通行止めにするわよ」
A「でも、私もひとりじゃ怖いんだもん。一緒に行ってくれたら、一緒に肝試しできたら嬉しいって思っただけなんだもん」
B「せめて見えないように目薬差しなさいよ」
A「えへ」
B「オカルトスポットよりアンタのほうが怖いわね。舌切り雀で欲張りの人間がどうなるか、知らないの?」
A「怖いの?」
B「べべべつに怖いから行かないって言ってるわけじゃないわ。命あっての物種よ」
A「五万円」
B「何?」
A「人面トンネルの写真が撮れたら、五万円で買い取るって出版社のホームページに」
B「行くわよ」
A「へ?」
B「何ぼさっとしてるのよ? 他の奴らに追い抜かれる前に、ほら」
A「ちょっと命はどうしたの。行くにも色々と準備が」
B「しゃらくせえ! 金のためなら命を張りなさい
A「さっきと言ってることが逆じゃない」
B「念のため美術部からペンキだけ借りていこうかしらねえ」
A「オカルトスポットよりアンタのほうが怖いわよぉ」

狙い

相手の台詞に被せる台詞を多数配置した台本。ギャグ台本なので、うまくテンポを作りたいところ。題材がホラーであるため、ホラー感との差で突っ込みには自ずとギャップが出るはずなので、難易度としてはそんなに高くはない。オチが「オカルトスポットより〜」という台詞なので、Aは「オカルトスポットより〜」を聴衆にしっかり印象づける(台詞を立てる)必要がある。

やり方など

・人面トンネルの噂は嘘

・五万円貰えるという話は嘘

・五万円ではなく、本当は十万円が正しい

・Bは本当は死んでいて、Bこそが人面トンネルの主

・Aはトンネルで死んでいる。自分の死体を見つけて欲しい


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