A「うーん、ちょっと味薄いかぁ? おーい、ちょっと来てー」
B「なぁに? あたくし、テレビを見ていたのですけれど。国営動物園に国賓としてアジャムのオスとメスが来るのを中継してますのよ」
A「そんな海向こうの畜生2頭より、ウチの2頭のエサのほうが大事。味見て、ほら」
B「ん……、味薄いかしら」
A「やっぱりそうかー。ソルティ足すかな」
B「ちょっと。あたくし、人工調味料は嫌だっていつも言ってますわよね」
A「だって、天然塩高いんだもーん。それに、使わないとどんどん配給のやつ溜まる一方だし」
B「帝国に阿る(おもねる)だなんて、この国も堕ちたものですわ。大量に買わされて捌きようがないから、タダ同然で配っているだけでしょう。帝国の奴らはソルティなんて使えたものじゃないって笑ってますわよ」
A「でもタダで貰えるだけいいじゃん」
B「貧すれば鈍するのです。大戦に一度負けたからって、帝国にしっぽ振って、情けない」
A「でも、さっきアジャムの中継見てたじゃん」
B「それとこれは別! 動物に罪はありませんもの」
A「都合いいなー」
B「都合が悪いよりいいでしょう」
A「まあねえ。じゃあ、ドバー」
B「きゃあ! あなた! 話を聞いてませんでしたの? ああ……、ソルティ鍋になってしまいましたわ」
A「何を今更」
B「今更? 今、今更って言いました?」
A「言ったよ〜。ウチのご飯は一週間前からソルティご飯です」
B「な、な、な。あなたって人は!」
A「でもおいしいおいしいって食べてたじゃん。味なんてわかんないんだから一緒だよ」
B「だからって、あたくしに無断で」
A「黙らっしゃい。ご飯の支度も仕事もしない人に発言権はありませーん」
B「ぐっ」
A「それとも、明日からご飯の支度する? あ、天然塩も買ってきてね、自分のお金で」
B「ソルティご飯大好きです」
A「結局ね、負けたほうは勝ったほうの言うこと聞くしかないんだよ」
Aは「ひとりごと」や「距離感」、「動き」などをメインとしつつ、しっかり者のキャラとして、叱ったり、怒ったり、呆れたりといった感情の色をつけやすい。鍋をかき混ぜたり、味見の小皿を差し出したり、「黙らっしゃい」のところで、Bの口元に指を持って行くなど、動作を交えた演技が必要。
対して、Bは感情豊かな反面、しゃべり口調だけは上品ぶっている。そのバランスが肝要。だが、発言に一貫性がなかったり、そもそも働いていないあたりの「ダメさっぷり」としてキャラクターを引き立てたいところ。
この世界観の世界情勢やAとBの関係性などをうまく詰めて、演技したい。
・AはBのことを恋愛感情から養っている
・AはBのことを仕方なく養っている
・AはB(国の重要人物)のことを監視している帝国側のスパイ
・AはBの元使用人
・BはなぜAが自分に尽くしてくれるのか知らない
・BはAが自分に尽くしてくれることに引け目を感じている
・BはAを監視している帝国側のスパイ