A「(息切れ)もはやここまでか」
B「手はある」
A「待て。言うな。それは手とは言わん」
B「俺を見捨てろ」
A「ふざけるな」
B「この状況でふざけられると思うか?」
A「だからふざけるなと言ったんだ」
B「だがしかし、このままだと二人とも死ぬぞ」
A「だったら、このまま死ぬほうがましだ」
B「馬鹿野郎」
A「俺にお前を置いていけって言うのか」
B「そうだ」
A「できるわけないだろう」
B「やるんだよ」
A「無理だ」
B「無理じゃない」
A「無理だ」
B「やるんだ」
A「無理なんだよ」
B「おい」
A「無理なんだよ、なあ。そんなこと言わないでくれよ。頼むよ」
B「ウチの書斎にある金庫。暗証番号は3030だ」
A「おい」
B「中身は好きにしてくれていい。写真だけ、妻に渡してくれ」
A「やめてくれ」
B「頼んだぞ」
A「わかった」
B「さすが俺のパートナーだ」
A「ちゃんとパートナーなら、ふたりとも助かった」
B「お前じゃなかったら、ふたりとも死んでるさ」
A「ちゃんと生き残ってみせる」
B「ああ、ちゃんと生かしてみせる。ジジイになったら会いに来てくれ」
A「わかった、約束する」
B「よし。じゃあな、相棒」
A「ああ、さようなら、相棒」
どこで泣くかがポイントだが、感情を乗せやすいように繰り返し(リフレイン)の台詞配置となっている。また、死にゆく者と、生きるものの対比となるような台詞配置をしている。「馬鹿野郎」と言われた直後など、どこに間を置くかで感情をうまく伝えるように「間」の取り方もポイントのひとつ。
・AはBの妻から生かしてBを返すように言われている
・Aは諜報によりBを裏切っている
・Aは致命傷を負っており、逃げる算段が立っていない(Bには隠している)
・AはBに恋愛感情を持っている
・BはAを騙している(死ぬ予定はない)
・Bは致命傷を負っており、元々助かる見込みがない
・Bは妻に写真を渡すことだけが目的