A「釣れますか?」
B「げ。ぼちぼちですかね」
A「なんですか、そのあからさまな『めんどくさいやつが来た』みたいな顔は」
B「いつから心が読めるようになったんですか?」
A「少しは否定するとか。まあいいです。それで、釣果は?」
B「全然ですよ。疫病神……じゃなかった、あなたが来たせいでもっとだめです」
A「今何か聞き捨てならないこと、言いました?」
B「気のせいじゃないですか? とにかく、ドタドタと足音を立てないでくださいよ」
A「わかりました。では隣に失礼します」
B「どうぞ」
A「だから、どうしてそんな嫌そうな顔をするんですか?」
B「いえいえ。竿を投げるときに引っ掛けてしまったら……」
A「今『その手があったか?』みたいに思ってます?」
B「いつから心が読めるようになったんですか」
A「今日ですかね」
B「いやあ、隠し事はできませんね」
A「隠す気なかったですよね」
B「そんなそんな」
A「実は私のこと嫌いですか」
B「そんなことはありませんよ。強いて言えばどうでもいいです」
A「わかりました。もういいです。あなたはそうやっていつもいつもつれないことばかり」
B「あの!」
A「すみません。別に今のはあなたのことが嫌いになったとかそういうわけでは」
B「今釣りしてるんで『釣れない』とか言わないでください。あと大声出すんで、魚が逃げました」
A「大声出したのはそっちでしょう?」
B「すいませんでした。あの、謝ります」
A「とりあえず丸め込んで静かにさせようって思ってます?」
B「どうしてわかったんですか?」
A「馬鹿!」
掛け合いの中で、互いの好感度をどこに設定するかでやりようが変わる原稿。Aは一見してBに嫌われているように見えるが、それでもBに対して関わりを持とうとしていることから「人のよさ」や「聴衆からの好感度」を得ることができる役柄となっている。対してBは「自分の気持ちに正直」という点から、同様に聴衆からの好感度を得るようなキャラ付けを行っている。そんな二人の好感度をどこまで高め合えるかという点にも注目したい。
・AはBが嫌い(嫌がらせとして接近している)
・Aは仕事としてBへ接近している
・AはBに好かれたい
・BはAのことを嫌ってはいない
・BはAのことが好きだが、距離を置かねばならない立場にある
・BはAのことを侮蔑している