「どうも、ウチの店にようこそ。え、いや違いますよ。俺はここの見習いで、今師匠に言われて道具の手入れをしてるんです。道具には魂が籠もるからって、師匠の教えで。あ、すみません。修理のご依頼ですよね。師匠、多分この時間だと寝てるかもしれないですけど。先に状態だけ見させてもらってもいいですか? お前は腕はからっきしだけど、見る目はあるなって師匠には褒められてるんです」
青臭い感じを演出することが目的。主人公タイプにある「成長前」を演じることと、「爽やかさ」や「努力家」といった感じを見せることができる。師匠が寝ているのをいいことに、越権行為を働くあたりにキャラ性を出せるようにした。
「こんにちは。あなたの鞄、とてもいい色と風合いをしていますね。おじいさんから譲り受けた? それはそれはとても大事にされていたんですね。少し拝見しますね。ふむふむ、このあたり少しだけくたびれていますね。ちょっとだけ磨いてこの子の疲れをとってあげれば、次はあなたが誰かに譲り渡すことができますよ。仕上がりはそうだな、……うん、最優先でやっちゃおう。また二時間後にいらしてください」
大人の落ち着いた感じや、柔和な雰囲気を演出する台本。全体的に「思いをはせる」文言を散りばめているので、穏やかな中にも心情を含ませることができるようにした。最後にひとり言によるくだけた口調を配置、また他のを後回しにするキャラ性を置いてただの丁寧口調なだけの台本にならないようにしている。
「なんだまた来たのか。何度来ても、俺はもう刀鍛冶はやめたんだ。人殺しの道具としてしか刀を見ていないお前らに渡すものはねえ。ん? お前、その玉鋼(たまはがね)は。おい、どこから持ってきた。……気が変わった。そいつを寄越せ。勘違いするな。そんなものを見せられちゃあ、打たないわけにはいかないだろうよ。そいつは刀になりたがってる。恨むぞ。そんなものを俺の前に見せてくれたことを。さあ出て行け。今からここは俺とそいつの部屋だ」
冒頭でキャラのバックボーンを見せつつ、結局は職人気質であることに勝てないというキャラ性。低めの声質であれば挑みやすい台本。クールな中にも、激情を見せることができるように練っている。
「どうもどうも。君がご依頼してくれた人? うんうん、このボクに声を掛けたのは正解だと思うよ。ご注文の品の確認だ。追跡偵察用の小型機器で間違いないね。ないよね? ではでは、こちらが完成品になります。え、依頼の品と違う? 何言ってんの? ばっちりきっかりどこからどう見ても依頼の品じゃん。あー、わかってないな。ここの耳とクチバシがかわいいのに。え-、これ取っちゃったら勿体ないってか、ボクに頼む意味ないし。じゃあ、この話はご破算ってことで。もう二度と会うこともないでしょう、サヨナラ」
ちょっと癖のあるキャラ。冒頭と後半でテンションに差を設けて二面性を出しやすいように演出。