「先輩さん」(先輩)

語り手・・・先輩(あるいは今からそうなる)

 


入社2年目

「後輩ですか? え、無理ですよ、無理無理。まだ自分の仕事も覚束ないのに、今日から先輩になれなんて絶対無理です。アレですね? 先輩、俺のこといじめる気ですね? かわいい後輩が潰れちゃっても心が痛まないんですか痛い痛い痛い、脳天グリグリは止めてください。え、ちょっとどこ行くんですか先輩。俺ひとりで後輩の相手とか無理ですよ、先輩」

狙い

いやいつまで後輩気分やねん、お前が先輩になるんだよ! というコンセプトの下、へたれやぶすくれなど演じ方も色々。大事なポイントとして「先輩」と「後輩」が誰を指しているのか、きちんと聞き手に伝わることが必須。痛みや動きの演技も。心が痛まないの「痛み」から自分の「痛い」へつなげる変化で遊べるようにした。


待望の

「おう新人。とりあえずわからないことがあればなんでも訊けや。ん? どうした? 便所なら突き当たりだぞ。……なんだ、言いたいことがあんのか? はあ。まあ、俺の顔が怖えのは認める。あー、アレだ。ウチも長く新入社員とってなかったからな、俺も今更新人との接し方わかんなくて緊張してんだよ。おんなじ。ははっ。とりあえずアレだあ、便所でも行くか」

狙い

「おんなじ」。この台詞をうまく使って欲しい。漫画ならぶち抜きごまで顔を並べてはにかみながら指を交互に指す、そんな「画」を想定しています。緊張していることを表すために、「アレだ」が2カ所あるため、こちらも上手に使いたい。


はりきり空回り

「後輩クン、わからないところはありませんか? あ、喉が渇いたりトイレに行きたいとかあったら、いつでもどうぞ。このあと10時から会議が始まりますので、それまでは自席でお伝えした作業をしていてください。わからないことがあればすぐに呼んでいいですよ、飛んで駆けつけますので。あ、エアコンの温度は大丈夫ですか? 寒かったり暑かったりは、そうだボールペンの替え芯が――はい! はい、落ち着きます。すみません」

狙い

最後の「すみません」を誰に対して言っているのか。後輩本人に言われたのか、それとも上司等第三者に諫められたのか。1回目のはいと、2回目のはいをしっかり差別化したい。


後輩なぞいらぬ

「後輩だぁ? そんなものはいらねえよ。おいおい、人事部のオッサン連中、トチ狂いやがったのか? この者を第二資料編纂部へ配属する、だぁ? こんな紙切れ鼻噛むのにも使えねえよ、あ外した。つーわけで、新人君、そこのゴミ拾って捨てといてくれる? 人事部のゴミ箱に。ついでにましな部署に転属させてもらってこい。先輩って呼ぶんじゃねえ! ほら行ってこい」

狙い

実はいい人でした。紙面を読む感じや、丸めたり投げたり、外した時のリアクションなど? 工夫はどうとでも。「人事部のゴミ箱に」の言い方もすぐに言ってもいいし、そのまま捨てようとする後輩を呼び止めるように少し間を置いたり「ちがうちがう」のニュアンスを入れるなどしてもよい。きっと最後のほうで「ありがとうございます先輩!」とでも言われたのでしょう。


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