「さ、今日はテストの返却日だったな。出してみろ。……ふむ、よくやったじゃねえか。赤点は回避しろって言ったが、まさか60点を超えるとはな。やればできるじゃねえか。よおし、今日の晩飯は兄ちゃんが腕によりをかけて……何? 200点満点のテストだぁ? ……ま、正直に言っただけよしとするか。何食べたい? そんで食べ終わったらみっちり勉強な」
逃げるんじゃねえよな?(緊張感)→褒める(緩和)→実は200点満点(緊張感)→許し(緩和)の台本。最後の台詞はやさしく言うか、鬼軍曹モード続行にするかで色が変わる台本。
「確かにこのマークはアナザーカンパニーの入館証だな。お前ひとりで盗んできたのか? ……よくやった。これであいつらの悪事を暴くことができる。あとは俺がやるからお前は休んでろ。心配すんな、俺はお前の兄ちゃんだぞ。弟が身体張ったのにのうのうとしてられるか。ちったぁかっこいいとこ見せねえと、締まんねえからな」
「よくやった」を喜ぶのか、こんなこと(盗み)をさせた罪悪感を持って言うのかで変わる台本。色々なパターンで遊べるようにした。
「よくやったな。あそこのクライアント結構気難しかったろう? お前の真面目さがよかったんだな。毎週説明に通ってたもんなあ。俺も見習わなくちゃな。ん? どうした? なんだ、仕事できるようになっても、まだまだ子供かー? ったく。頭出せ。よくやったぞ、次も期待してるからな。頭撫でて欲しいとか、ホント変わりモンだよな、お前」
会社のオフィスでの一幕。頭を撫でて欲しいというお願いに応じる懐の深さを出した台本。やさしい言葉を立てるために、「引き」の言葉をちらほら配置した。「ホント変わりモンだよな、お前」を呆れて言うのか、照れ隠しとして言うのかで色が変わる。
「よくやった。よくやったよ、お前。ああ、兄ちゃんだ。ここにいるぞ。お前のおかげだ。お前がやってくれたんだよ。兄ちゃんちゃんとそばにいるからな。なんだ? ……ああ。何度だって直してやるさ、気にすんな。壊れたモンは直せばいいんだ。そうだな、うん。いいぞ、もう休め。よくやったよ。お前は俺の誇りだ」
兄謹製の武器のようなものを使って何か兄を守った弟(息も絶え絶え)を抱きしめながら喋っている台本。「何度だって直してやるさ(弟以外)」という皮肉も皮肉な台詞ははたしてどちらに言い聞かせてるのか、がポイント。泣きたいけど、弟の前では最後くらいかっこいいお兄ちゃんでいなければならない感情を抑えるか滲み出すかの瀬戸際を攻める台本です。