(場面設定)
家柄が没落し、暮らしの程度を落とさなければならない場面にある。
「ありえん、ありえん! 代々百年続いてきたのだぞ、当家は。先々代のころより王家に仕えてきたというのに、『反逆の意思を持っている』だの、たったそれだけの理由で爵位を奪われるというのか? たとえ王がそれを命じたとしても、私は認めぬ。紙とペンを持て。先代に直々に文を書く。何かの間違いだ。間違いであるに違いない」
諦めない系貴族。しかしながら、自分に言い聞かせるような台詞「ありえんありえん」「間違いだ間違いである」で自分を落ち着けようとしている節もある。唯一意思のはっきりした「私は認めぬ」という台詞をしかっり立てたい点と、従者への命令を使い分ける点を気をつけたい。冒頭に「ありえん」を持ってくることで、感情の色を提示しやすくしている。最後に「急げ」などど苛立つ台詞を足してみてもよい。
「父上、何かの間違いですよね? 明朝までにこの家を出て行けとおっしゃいましたか、今。僕は、跡取りですよ? この家の。まさか、分家から養子をひっぱってくる話、本気なのですか? 僕だけです、僕だけが跡取りに相応しいはずです。父上、考えなおしてください。勉学も乗馬も剣術だって明日からちゃんとやりますから。ほら、僕の顔を見てくださいよ、父上」
「明日からやる=昨日までさぼっていた」だから、勘当されたんだよお前は、といった感じのお坊ちゃまの台本。全体的に感情を震えさせやすい構成。最後の「僕の顔を見てくださいよ」をどう捉えるかが力量の分かれ目。①父上と目が合わない(=存在を軽んじられている)ことが悔しい(または悲しい)②父上と顔が瓜二つという点だけが残された才能であるという縋り の2点が主に想定される
「おい! 汚い手で家財に触るんじゃない! お前達の給金ごときじゃ十年働いても買えぬものばかりだぞ! 誰だ! 誰の命令で動いている? 私は公爵だぞ! 我が一族を妬む者が私を嵌めたのだ。王の怒りを買うような真似など、私がするはずもない! さ、早く口を割れ。そうすれば私がお前達を雇ってやっても構わないぞ?」
「王様の命令です」という台詞は本人には届いていない。現実逃避した結果、言動が支離滅裂になっている。
「うーん、やはり朝の目覚めには紅茶が一番だな。今日は暑いから、水出しの茶にしたが正解だった。少し茶葉の品質が落ちているようだから、農村のほうへ近々視察に向かわねばな。ああ、そうなると馬車が要るか。セバスチャンには別邸の管理を任せているから、次の行商の馬車が来た折にでも声を掛けるか。色々と処分してしまったから、また買い付けねばな」
ロケ地:廃墟 小道具:割れた茶器 井戸水で入れた野草の茶 主演:元貴族(独演)