「処刑人」(苦悩)

語り手・・・処刑を施す人

(性格設定)

処刑で手を汚すことに対して、自分の中で色々と折り合いをつけている。


処刑人(侮蔑)

「それでは、刑の執行に移ります。……どうしたんですか、今更命が惜しくなったんですか? あと三日早く、その気持ちを感じ取っていれば、あなたは今ここに立たずに済んだし、私も手を汚さずに済みました。あなたが悪いんですよ、あなたが。次に生まれ変わるときは、心の綺麗な、……そうですね芋虫あたりがお似合いでしょうか。蝶になれたらいいですね。――始めろ」

狙い

受刑者(身動きが取れない)に対して、どこまで顔を近づけて言うかで距離感を意識したい。汚らわしくて近づかないかもしれない。蝶になれると本気で思っているのか、皮肉なのかもきちんと考えながら喋りたい。最後の「始めろ」は、補佐官への台詞なので、明確に演技や距離感が変わることに注意。


処刑人(誇り)

「はい、はい。また、御身のもとに不浄なる魂をお送りできること、このわたくし、嬉しく思います。主(しゅ)が、悪しき魂を浄め、彼がまたこの大地に巡り還ってくるときまでの、旅立ちの立会人の務め、果たさせていただきます。主のもとへ近づける天上の幸せ、貴方に祝福として手向けさせていただきます。さあ、首を出して。よき旅路とならんことを」

狙い

まったく受刑者の話や主張を聞かずに一方的に話すタイプの困ったさん。盲信者のキャラクター。最後の台詞を刃を(首に)落としながら言うのか、落とす直前なのかで演技が変わる。「この大地に」という台詞のところで、画面の構成として引き(ロング)で風景を見せるとしたら? をうまく意識したい。


処刑人(諦観)

「はあ。仕方ないのです。人間は罪を犯す以上、それを裁く人間が必要になります。誰かがやらねばならないのです。であれば、その罪を今は私が背負いましょう。皆のためです。ええ、大丈夫。大丈夫です。私も最後にはきちんと裁きを受けるでしょう。ですが、今は。処刑人として、あなたに裁きを下します。冥土で、その罪業を悔いなさい。大丈夫、私もあとから行きます」

狙い

「人間」と「今」と「大丈夫」というワードが2回ずつ出てくるので、うまく使い分けたい。最後の台詞を受刑者に向けて放つのか、自分に向けて言うのかで色がかなり変わる。


処刑人(思考放棄)

「死刑、死刑、死刑、死刑! はははは、死ねよ犯罪者! お前達は罪を犯した! その罪に命で償うのは当然の報い! 今更命乞いか? はははは、処刑人には罪人に貸す耳はありませーん。あるのはお前等を処刑する腕だけだ! おっと、……汚えなあ。人に唾を吐いちゃいけませんってママに教わらなかったのか。ああ? あ、処刑前に殺しちゃった。ま、いいか。どうせ殺すし」

狙い

わーわー騒ぐだけにならないように、落とす・抑える台詞や間を適度に配置した台本。途中から「処刑」ではなく「殺す」という感覚になっているところにぶっ飛んだキャラクター性を持たせている。処す動作をきちんと台詞に入れたい。


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