語り手・・・パートナーに対して一緒になりたい旨を伝えている
「ずっと一緒にお前と過ごしきて、なんつーかさ、今日ここでバイバイっていうのも変っていうか、なんか落ち着かねーっていうか。大学は別々のとこになっちゃったけど、そんなに離れてねえし、俺と一緒に暮らさないか? あ、いやホラ、家賃も浮くだろうし、お前知ってると思うけど、俺家事全般掃除も飯もイケるし。……どうでしょうか?」
「俺と一緒に暮らさないか」の一言をなかなか言えずに前後に誤魔化すような歯切れの悪い台詞が続く。最後の「どうでしょうか?」を受けた相手のリアクションがどうなるかまでしっかり見据えて演技したい。一方的に喋っている状況であること(=相手は無言)であることをよく考えて。幼なじみ故に相手もわかりきっていて、ぷっと吹き出すのか、それとも拒絶されるのか。
「先輩! 俺、ずっと先輩に憧れてて、それでこの道に入ってきて、俺、先輩と一緒にやれるってだけで幸せだったんですけど、一緒に過ごしていくうちに、嫌だな、俺、自分がこんなに我が儘だなんて知りませんでした。もっと先輩と一緒にいたい、もっと先輩が欲しい。そう思っちゃうんです。先輩、俺、もう『待て』は聞けそうにないです。好きです」
どの分野(職業や学業)での先輩後輩かを想定したうえで臨みたい。(技術的な指導があるのか、肉体的仕事か、知識の分野か等)幸せと自己嫌悪と外れかかるミッター(ギリギリ)の台本。先輩との力関係(腕力や体格)がどちらが上かというのもポイント。また、日頃から『待て』と言われるようなやりとりがある点も読解しておきたい。
「勘違いするなよ? 別に俺はお前のことなんざ、路傍の石ころぐれーにしか思ってなかったけどよ、その石ころが毎日『好きだ』『好きだ』って言ってくりゃあ、嫌でも目に入るっつーか、まあ、少しは構ってやらねえと可哀想かなくらいには思えてきたっつーか、ただそれだけの話だ。ああ、もう。わかれよ。好きっだって言ってんだよ。お前のことが」
本当は最初から好きだったくせに。このキャラクターが「何(真意)を隠したくてこのような台詞回しをしているのか」という点に着目。解答の一例として「俺のほうから好きになったって言ったら癪だな。こいつが次に俺に『好き』って言ってきたら、まあ仕方ねえから応えてやるか。おいおい全然言わねえじゃねえかよくそが」的な心情。
「お前を人里から連れてきて、もう2年になるか。まだ故郷が恋しいか? お前がよく散歩に出かけては、山の外を見下ろしているのは知っている。別に隠さなくてもよい。それを咎めるつもりはない。俺とお前では時間の歩みが違う。いつまでも待つさ。ただこれだけは覚えておいてくれ。お前はこの俺が唯一伴侶に選んだ人間であるのだ、と」
人間側は監禁されているわけではなく、多少の自由が利くことと、現在山の上にいることが伺える。人外側のプロポーズはするけども、大人(?)の余裕のある感じを出せれば。人間側がどこまでこちらに心を開いているかという点も詰めたいところ。「いつまでも待つさ」は自分に向けて言うのか、相手に向けて言うのかもポイント。「故郷」の話をする際に視線がどちらに向くかもポイント。