「足元見るよ」(脅迫)

語り手・・・脅迫する側

聞き手・・・脅迫される側


主人公タイプ

「刑事さん、さっき言いましたよね? 『自分たちはどんなときでも善良な市民の味方だ』って。この写真、刑事さんと写ってるの、善良な市民には見えませんけど。いいんですよ、別に、刑事さんが誰と仲良くしようと。ただちょっとこの人の居所を教えてほしいだけなんですよ、僕は。ああ、どう思ってくれてもいいですよ。僕も善良な市民ではないので」

狙い

刑事の「さっき言った」内容が自分から言ったのか、こちらサイドから誘導された発言なのか。キーワードとして「善良な市民」が3回出てくるので、うまく差別化したい。最後の自己評価の台詞で、自分に対して誇らしく思うのか、歯がゆく思うのか、皮肉で言うのか等、色は加えやすい。また写真に写る人物の居所を迫る=え? そっちの肩持つなら知らないよ? という言外の脅迫を読み取ることができたかどうか。ただ、主人公タイプとして演じる場合、視聴者からの「好感度」が下がりすぎないように注意すること。


ゲスタイプ

「見ちゃったな〜、見ぃちゃたな〜。いいのかなぁ? 生徒会長サマがあんな店に出入りしゃっていいのかなぁ? 僕ぅ? 僕はいいんだよ、常連だから。壊れるイメージもないしねぇ。……自分の立場をすぐに理解できるのは優秀だねぇ、さすが優等生。それで話は変わるんだけど、旧校舎の鍵、欲しいんだよねえ。受け渡しは、またあのお店でいっか。よろしくね」

狙い

ザ・ゲス。語尾が伸びているので、リズムとうざさは作りやすい。「あの店」というワードの使い方と、自分ごときに弱みを露見させた生徒会長に対して「優秀」「優等生」とのたまったり、「話は変わるんだけど(変わってない」「もう一度あの店に呼びつける」といったゲスっぷりを活かしたい。


おどおどタイプ

「あ、あの、お願いします、あと3日だけ待ってもらえませんか? 3日もらえたら、なんとか、僕頑張りますから。ま、待てないですか? す、すみませんそうですよね。無理ですよね。当たり前ですよね。僕なんか駄目ですよね。いないほうがマシですよね。首を吊ります。今までありがとうございました。え、待ってくれる? あ、ありがとうございます」

 

狙い

「ですよね」「ですよね」「ですよね」「ですよね」「ですよね」→「死にまーす」という畳みかけからの脅し。自信のない自分に差し出せる担保は命程度。演技上は相手の話を聞いていないという点になる。演技力の見せ方として「ありがとうございます」の差別化が肝。何の締め切りを延ばそうとしているか自分の中で設定を変えてみるのも面白い。


無自覚タイプ

「ウチの村から生贄を出すことは承知しました。これできっと今年の冬も無事に越すことができるでしょう。ただ、来年そちらの村から生贄を出すとなったら、あまり若いのがいないでしょう? ウチから若いのを何人かそちらに住まわせますよ。そしたら来年の生贄にも困らないでしょうし、子供もできるでしょうから。いえ、こういうときこそ助け合いですよ」

狙い

邪気のない感じで演じたい。本人は親切心100%なのだが、「あまり若いのがいない」などとずばりと指摘するし、村人の面倒を数人見させるということは、事実上の口減らしであり、反対の村の備蓄に対して負担を掛けていることになるので、何も助かっていないのである。


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