翻訳サイトを使用して無理矢理日本語にしたような、怪しい文法の説明文たち。
「私たちは星を探し始めました。星は夜の一番深いところにあります。星探し人は『ウォッチャー』と呼ばれ、コロニーに住む少年少女はみんな『ウォッチャー』になりたがります。しかしなれるのは一握りです。星は億千万とありますが、『ウォッチャー』になれるのは片手の指で余ります。それでもあなたは『ウォッチャー』を目指しますか?」
少年少女に夢と希望を与えるような文章なのだが、文法のせいで少し抵抗であったり訝しさの残る台本。囁くように、導くように演じたいが、悪魔じみても天使のままでも演じることができるようにした。『夜の一番深いところ』『星探し人』という詩的な表現をうまく活用したいところ。
「あなたを羊の毛から解き放ちましょう。この『エクストリームバリカン』を使えば、まるでバターのように、羊毛をつるつるできます。力は要りません。まるであなたは赤子のようです。ベイビーに哺乳瓶の代わりにエクストリームバリカンを持たせたっていいのです。毛刈りの季節が恋しくなっちゃう、家族みんなでエクストリームしませんか」
商品CM。真夜中に、謎の外国人男女が、色彩の強いスタジオでやりそうな、ハイテンションな台本を目指した。CMとして立てるべき所(商品名)はしっかり立てたい。『家族みんなで』というのも商品の訴求ポイント。
「この度は私たちの製品を使ってくれて嬉しい。面倒をかけたことが、とても申し訳ない。ハンドルの故障について、私たちはすぐに準備ができています。まず、あなたの名前と送り先を教えてください。すぐに新品を送ります。あなたの満足が高くなるように私たちは全力を尽くします。だから私たちを許して欲しい。お返事待ってます」
謝罪メールなのだが、文意的には「返金・キャンセルは受け付けない」というスタンス。粗悪品の在庫などいくらでもあるのです。それをうまく感情に乗せつつも顧客に悟られないようにしたいところ。
「あなたがこの文章を読むとき、あなたは生きていないでしょう。それでもこの文章を残したのは、希望のためです。この文章は6つのセンテンスから構成されています。5つ目までを読んだとき、あなたがもし生きていたなら、この上ない幸福に導かれるでしょう。ただし6つ目まで読んで読んでしまうとあなたは死んでしまいます。残念です」
冒頭の文章から不穏を匂わせる構成。支離滅裂な内容がおぞましさを想起させる。文意と表現もどうようにちぐはぐにすれば、一層際立てることができるだろう。ちなみに、『残念です』が6つ目にあたる。勿論、この文章を読んでもあなたには何も影響はありません。(※フィクションですので)