語り手・・・探検隊構成員
聞き手・・・他メンバー
(場面設定)
少年たちは探検隊を組んでいる
「おーし、今日はオバケ沼の調査に行くぞ。放課後、裏門のところに集合な。え? 宿題をやらないとだって? 馬鹿野郎! 宿題が怖くて探検隊が務まるかよ! 団員の掟・第一条を忘れたのか! 我が探検隊は、下裏町(しもうらちょう)に潜む謎を余すところなく解明する! 宿題なら心配すんなよ、あとで兄ちゃんに手伝ってもらうからさ」
団員への呼びかけと指示により、快活さと決定力(リーダシップ)があるという点を出している。途中に叱咤を入れることで、厳しい一面を出しつつも、最後には「兄貴に頼る」という点で、フォロー力や飴と鞭を表現。また、弟属性も付与。「宿題が怖くて~」の台詞を虚勢にすることで、最後の台詞が茶目っ気となることもできる。
「ねえ、聞いた? 最近、学校の裏山で雨の日に『謎の声』を聞いたって噂が広まってるけど。どうするの? リーダー。あそこは斜面も急だし、雨の日なんか結構滑りやすいから、下級生とかが面白半分で入っちゃったりしたら、危ないと思うけど。聞くまでもなかったね。了解。次の雨は三日後だよ。じゃあ、もうちょっと情報集めとくね」
冒頭の台詞は、そのまま物語の開幕台詞としても利用できるように、直接読者(聴者)に語りかけるような、興味を引きつけるパワーワードとして利用したいところ。リーダーへの呼びかけでは、距離感を意識したい。真横に座っているのか、はたまたリーダーを見上げているのか(リーダーだもん、ジャングルジムとかに昇ってそう)。途中の情報を出すパートはそこそこ尺があるので、うまく聞かせるか詰めるかしたいが、下級生を重んじる台詞があるため、人のよさが出せる。ただ、これはリーダーを動かす大義名分としてただ下級生の存在を利用しているだけでもよい。それによっては「聞くまでも~」が「狙い通り」の笑みに変わるだろう。
「やっぱりやめようよぅ。よくないよぉ。人の家の敷地に勝手に入るのはよくないって、先生も言ってただろぉ。か、帰ろうよぅ。べ、別に怖いってわけじゃないよ。あくまで、一般論としての話で……ひゃぁ! 脅かさないでよ。あれ……? 今、後ろにいた? じゃあ、今のって……うわああああ! もうおうち帰るぅうううう!」
「やめようよ→よくないよ→言ってただろ→帰ろうよ」の似た音の連続でリズムを造りやすい且つ、感情レベルの変遷がつけやすい。「あくまで一般論~」のあたりで、持ち直す→驚く→分析→気づく(絶叫)といった、とにかく強弱をつけやすい台本。
「ねえねえ、あっちにすっげーウンコ落ちてる-! ぜってえ、恐竜のウンコだぜ! 古代文明のウンコだ! さがせば、恐竜が見つかんじゃねー!? むむ? あーっ、なんだそれかっこいー! 金色の虫だ-! あ、おまえ逃げるな! 待て! 網! 網持って来て! あー、銀色のもいるー! だはははは! ぜったいつかまえてやるからなー! 待てー!」
興味があっちだこっちだにとっ散らかっている子。意外と何も考えていないようで本質をついたりすることもあるキャラに多い。物語の構成上「主要メンバーを物語の次の情報(手がかり)や危険へ近づける」という役割を担うことが多く、進展役として重要なポジションである。本人がどう考えているかは知らんけど。演技上「網を求める」「銀色の虫を追加で発見」という「視点の回転」と「距離感(対象)の変化」が演じ応えポイント。