「やあ! やっぱり日本はいいね。サクラが美しいよ、チリユクハカナサっていうのかい、咲いてるときより散る瞬間のほうがいいだなんて、とっても興味深いよ。花の下で飲むお酒ってのもたまらないね。今週も友達とお花見をする予定なんだ。花見に合わせて3日前からチキンを煮込んでるんだ。待ち遠しいよ」
「楽しさ」やプラスイメージの色となっている台本。好印象となるように心がけたい。「やっぱり」「とっても」「たまらない」「3日前から」「待ち遠しい」といった印象を操作するワードを連続配置している。
「すごい音がしたんだ。それで恐る恐る庭に出てみると、驚いたよ。見覚えのない物体が庭のど真ん中にぶっ刺さってたんだ。誰が自分んちの庭に隕石が降ってくるなんて思う? 家族に怪我がなくて本当によかったよ。そのあと政府のお偉いさんが来てすぐに回収していったよ。報奨金が出たから、それで庭にテラスを作る予定さ」
サスペンス的な、SF番組的な、おどろおどろしい雰囲気のノリ。または、ノリノリ興奮醒めやらぬのノリでも。最後の「テラスを作る予定~」というのは、嬉しそうに言ってもよいし、皮肉を込めて言っても良い。「誰が自分ちの庭に~」という台詞も問いかけであったり、落胆であったり、色を変えやすい台詞。
「ずっと一緒だった。俺が小学校に上がった頃からだ。俺は大人、アイツはヨボヨボの爺さんだ。最後のほうなんて、歩くのはおろか立ち上がるのだってしんどかっただろうに、クリスマスに帰省したときアイツさ、ボール咥えて俺を玄関まで出迎えに来たんだ。最後に遊びたかったのかな。付き合ってやればよかったって、後悔してるよ」
悲しい感情の台本。どこのタイミングで涙ぐむかで、演技の差別化を図ることができる。あえて直接的に感情を「後悔してる」と言及している点に注目。
「政府のお偉いさんは何もわかっちゃいない。この沼を埋めたら、毎年ここに水を飲みにくる渡り鳥たちは一体どこで休めばいいんだ? リゾートホテルだかなんだが知らないけれど、地元の人間はホテルなんて使いはしないさ。美しい自然を壊すだなんて、自分たちの都合ばかり押しつけやがる。とにかく沼の埋め立てには反対だよ」
怒る台本。鳥のためという義憤でもよいし、本当に心から自分のために反対してもよいし、あえて落ち着いて読むというのもよい。