「恨みつらみ」(恨めしい)

語り手・・・恨めしい側の人

聞き手・・・恨まれている側の人


泥棒猫め…

「おかしい、おかしいわ。先に彼を見つけたのは私の方だったのよ。なのに、どうして? 奪った、奪ったのね? あの女、きっとなにか姑息な手を使ったに違いないわ。ええ、そうよ。負けるものですか。あんな薄汚れた女、彼には相応しくないわ。ちょっと調べればゴミですもの、埃のひとつやふたつ、出てくるはず。覚悟しておくことね、泥棒猫さん」

狙い

自問自答→からの、徐々に怨嗟が燃え上がるように、ボルテージが上がっていく台本。「覚悟しておくことね」の手前に高笑いを入れてもいい。


柳の下の

「旦那様。わたくしはこの家にお仕えし、十(とお)の頃から日々、雨の日も、雪や野分の時だって仕事を休んだことはありません。旦那様をお慕い申しておりましたのに、旦那様はわたくしを古井戸に突き落としになった。先月、嫁にいらした奥様のかんざしなど、存じません。わたくしが物盗りなどするように見えましたか。旦那様。わたくしは今でも、暗い井戸の底から旦那様をお慕い申し上げております」

狙い

好意的な台詞⇔心情は真逆 と、台詞と感情が不一致の台本。どちらの天秤にどこまで傾けるか手腕を問う台本。ホラーなテイストも入れることができる。


子を殺したな

「ややこを、私のややこを殺したな? 私が山を下りている間、これ幸いにと。ああ、可哀想に、今頃浄土の淵で母を求めて泣いているに違いない。ああ、今すぐにでも母様がそちらに行って抱きしめてあげたいのですよ。それを、それをよくも。お主たちのせいで、妾の腕はあの子を抱けぬ手となってしまった。報いよ、報いよ。お前達の上げる断末魔だけでもあの子の元に届けてやろうぞ」

狙い

お前も殺しとるやんけ。


妹は笑顔待ち

「あはははは! 兄様、兄様、兄様! どうしてわたくしから逃げるの? そんなに怯えた顔をなさらないで。あんまりにもそのような顔で見つめられたら、わたくし、ついうっかり兄様を壊してしまうかもしれませんわ。兄は妹を愛するものだと十年前のあの日言ったではありませんか。さあ、兄様。どうぞ、わたくしに笑顔を見せて?」

狙い

感情を振り切った台本。ヤンデレキャラとしても。「うっかり兄様を壊してしまうかも」以外の部分は兄様にとっては好意的な言い回しであるため、そことそこ以外の部分でどう差別化をするかで、演技しやすいようにしている。


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