「来ないでください! ……どうして来たんですか? 先輩、あの子のところに行ったんでしょう? 駄目ですよ、戻ってきちゃ。もしかして、勘違いさせちゃいました? 卒業しちゃったら、これっきりですから、最後にちょっとはしゃいじゃっただけですよ。ふふ、ごめんなさい。さ、待ってますよ。行ってあげてください。卒業、おめでとうございます」
二人の立ち位置を意識しながら読む台本。対面しているのか、背を向けているのか、「ごめんなさい」と「おめでとうございます」という相反するフレーズを連続で配置。どんな感情をそれぞれに込めるのかがポイント。はしゃいだのは、自分? 先輩? と、意味の込め方が多パターンある。
「来ないで! どうせ、生きてたらいいことあるだとか、悲しむ人がいるだとか、止めるつもりなんでしょう? 死ぬんだから、死んでやるんだからあ! 止めても無駄よ! 私、死ぬんだからね! すぐよ。ここからあと一歩踏み出したら、真っ逆さま。簡単に死んじゃうんだから。いいわね。止めても……止め、……早く止めてなさいよぉ!」
「来ないでください。大丈夫ですよ、ここは私ひとりで十分です。あなたは早く先に進んでください。行きなさい。いつから私の心配ができるほど偉くなったのですか? ここは私だけで大丈夫と言ってるでしょう? 進みなさい。私もあとから続きます。私が嘘をついたことがありますか? ……行けぇ! ……慣れない嘘はつくものじゃないですね」
少しずつ口調が荒くなっていること、慣れない嘘をついていることをうまく演技したい。このキャラは「味方を先に逃がすために残ったが、死ぬ可能性が高い」状況にある。また、会話相手がごねていること、会話相手より目上ということがわかる。
「だぁぁ! 来るんじゃねえ! 私に触るな――ギャァア! 当たった! 今、当たった! 汚れる! 汚される! 衛生兵ー! メディック! お客様の中に滅菌焼却のプロフェッショナルはいらっしゃいませんか!? 巫女は神職、汚れちゃ駄目、汚れちゃ駄目よ……。だあああああ、だから、私の半径百メートルに入ってくるんじゃねえ! この特定外来生物・オセンジュウが!」
とにかく喚き散らす台本。緊急時だが、それはそれとてボケる余裕がある、巫女が口が悪いというのがギャグポイント。2回目の「だああああ」は ①再度当たった ②間一髪躱した ③「だから」の1文字目 と、実は多様性のあるワード。