「手紙」(資料読み上げ)

語り手・・・届いた手紙を読み上げている

聞き手・・・視聴者(聴衆)

(場面設定)

手紙や資料を読み上げ、視聴者や聴衆へ説明や物語の補足を行うシーン 


日記

「ここに閉じ込められてからもう何日経つだろう。初めは八人いたが、もう二人になってしまった。骨を焼いてやることもできない。燃料ももうじき尽きる。仲間たちが出す腐臭も、もう鼻が潰れてわからなくなった。いや自分の臭いなのかもしれない。髪がベタベタする。風呂に入りたい。日の光が恋しい。このノートもあと何日書けるか。どうせ死ぬなら太陽の下で死にたい」

狙い

最初のうちは報告書という体で始まり、仲間のことを思いやりつつも、自分の話になるや否や、やりたいことの羅列になってしまった文章。日記を書いた本人は人に読ませることや報告書として体裁を整えることを考えていないが、あくまで読み上げのため、筆者の息づかいが聞こえるような朗読をできるかどうかがカギ。


報告書

「検体B-0017に関する報告。施設:アルタイルにおけるウェーブ波照射実験実施の結果、検体の脳波の値を通常の8倍まで引き上げることが可能と判明。これは零下200度における休眠状態のときと同じ値であり、これにより擬似的な休眠状態を引き出すことが可能となる。検体の安全な保管のため、ウェーブ波の安定出力を行うことが今後の課題となるだろう」

狙い

ナレーションとして読むもよし、報告書を読むキャラとして読んでもよい。「ウェーブ波照射実験実施」という長ったらしい固有名詞がチャレンジポイント。


遺書

「先立つ不孝をお許しください。私は、決して強い人間ではありませんでした。きっと、このままいても、何も成せなかったでしょうから、一足先に退場させていただきます。最後に私の退場を日頃から願っていた方々の名前を書き連ねさせていただきます。私のちっぽけな命と引き替えに、彼ら彼女らの幸せを、どうか願わせてください。さようなら」

 

狙い

恨みの台本。最後の反撃。「さようなら」を使い勝手のよいフレーズとして配置


届かなかった手紙

「手紙の返事が来ないことにも、もう慣れてしまいましたが、手紙がきちんとあなたの元に届いているかどうかの不安にはまだ慣れません。元気にしているでしょうか。いいえ、どうか元気にしていてください。もう、あなたに出せる手紙もこれが最後。これから、私は遠い場所に行きます。その場所があなたに少しでも近ければと思う反面、そんな場所にいないで、と願ってしまいます。どうか、あなたからの手紙が、私に届きませんように。願っています」

狙い

返事が欲しい気持ちと、欲しくない気持ち。二律背反に揺れる感情の文面


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