「あれ、あれれ? そこのオニーサン。そう、オニーサン。顔色悪いね。最近あんまり寝てないんじゃない? なんでわかるのかって? そりゃあ、あたしは薬屋の端くれだからね。ちょいとここに疲労回復に効くいい薬があるんだけど、一本どうだい? いやいや怪しいもんじゃないよ。(飲む)ほら、毒なんてない。ふふ、毎度あり。まあ、女には無害ってだけなんだけどね」
怪しい感じと飲む演技。あとは、最後のギャップでキャラクターを見せる台本。
「お願いします。ごほっ、もう毎日毎日死にそうで、ええ、このままだと確実に死んでしまいます。先生、薬を売ってくれませんか。お金はなんとか家中かき集めてきました。どうにか。ごほっ。あ、ありがとうございます。……あの、これだけですか? これじゃあ、三日も保たない。ごほっ。いえ、はい。また来ます。ありがとうございました」
病気の状態をどう演技するか。また、希望→絶望の切り替えが必要。「ありがとう」がそれぞれ配置されているため、対比で見せることができる。薬屋はあえて三日空けているのがポイント。搾取は太く短くではなく、細く長く。つまり、暗にお金を再度かき集めることを強要されている。
「ここにあとは、ヤモリのしっぽと、カザンダケのパウダーを、それから百年杉の樹液を垂らして……と、ひゃぁっ! どうしてー? 調合のレシピは合ってるはずなんだけど、色が超ぶさいくー! これじゃ売り物にならないよー! ……お、これは。ふふふ、クジャク草(そう)を混ぜて彩りを。隠し味隠し味。どれ味見。(ぶーっ)まずー! ああもう、最初からやり直し!」
素材の単語群から怪しさを出すことができる。この台本ではキャラのリアクションを見せることを目的としている。「驚き」「疑問」「嘆き」「悔しさ」「不敵な笑み」「悪巧み」「吹き出し」「怒り」「挑戦」など、多彩に仕込んでみた。
「はあはあ。これで勝ったと思わないことね。私にはまだ奥の手、ボスが残してくれたこの『超変身薬・モウドウニデモナレール』が残されているのよ。これを飲めばあなたたちを倒せるものにだってなれるわ。これを飲めば……(ぐびくび)。あら、何かしら紙切れが落ちたわ。使用方法、全身に満遍なく塗ること。これは軟膏です。……あはははははは! もうどうにでもなれ! かかってきなさい! 今の私は、強いわよ!?
」