「砂漠の民」(駆け引き)

A・・・・(一般人)

B・・・・(砂漠の民)

(場面設定)

Aは砂漠を訪れている。


旅人(男)×商人(男)

A「はあ、はあ、やっと着いた」
B「ようこそ、オアシスへ。旅のお方ですかな?
A「そうです。もう水を切らしてしまって、お水をいただけませんか?」
B「ほう、まだ雲が出ているとはいえ、この暑い中、水を。それは大変でしたね。ひとまずこちらの木陰にどうぞ」
A「ありがとうございます。それで、水を、樽にふたつ、いただけますか」
B「あちらのラクダに積んであるやつですね。あの大きさでしたら、そうですねえ、ひとつ200ポーロでいかがでしょう?」
A「200ポーロ?!」
B「はい」
A「高すぎる。あのラクダだって一頭150ポーロなんだぞ」
B「水は貴重ですから」
A「ひとつ前のオアシスじゃ20ポーロだったぞ」
B「では、そちらに戻ってお買い求めなさるとよいでしょう」
A「無理だ、あの道のりを水無しで戻るなんて無謀すぎる」
B「そうでしょうなあ」
A「ここから次のオアシスまでどのくらいかかる?」
B「んー……、昼夜休みなしで移動して一日といったところでしょう」
A「一日……」
B「さあ、どうされます? お買い求めされますか? ワタクシには、あなたは今すぐにでも水が必要であるかと思いますがねえ」
A「それは、……じゃあ、コップ一杯分の水をくれ」
B「残念ながら、樽単位でのお取引しかしていないんですよ」
A「なんだと」
B「さあさあ、どうなさいますか?」
A「水は貴重なのに、一度に大量の取引しかしないのか?」
B「貴重だからこそ、安物買いして欲しくはないのです」
A「無茶苦茶だ。ここで200ポーロも払ったら、この先の砂漠を乗り越えられなくなる」
B「ここでタダで水を振る舞っては、ワタクシも商人として破産です」
A「そもそもオアシスの水はお前のものではないだろう」
B「ここはワタクシの土地です。ですから、オアシスに湧いた水はワタクシのものですよ?」
A「……そうか。じゃあ、オアシス以外の水ならもらってもいいんだな?」
B「どうぞどうぞ、あるのなら」
A「その言葉、確かに聞いた」
B「どうしました? 急に空を指さして」
A「二日前に雨が降っていたはずだ。俺は池にたまっている雨水を勝手に持っていくぞ」
B「そんな道理が通りますか」
A「まさか、天下の商人サマが一度した約束を違えるなんて……信用問題に関わるよなあ?」
B「……持って行きなさい。ただし、こんなやり口のことは」
A「ああ、俺とオニイサンの秘密にする。取引成立だな」

狙い

切羽詰まった人と足下見る人の台本。途中でパワーバランスが逆転する。商人は商人で腹が立つようなキャラにしているが、商人としてのプライドは持ち合わせているという一面を置いている。

やり方など

・水は元々20ポーロで取引しても商人には問題ない。

・商人は火急に大金が必要。

・商人は旅人を苦しめるのが趣味である。

・商人は水の相場を本当に200ポーロと思っている。

・旅人は実は樽のうちひとつにはまだ水がある。

・旅人は水の相場が200ポーロであることを知っている。

・旅人は次のオアシスで水を転売するつもりである。

・旅人は実は王族。


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