「調教師」(形勢逆転)

語り手・・・調教する人

聞き手・・・動物(広義には人間も含む)

(場面設定)

 おそらくサーカス。 


小動物相手

「動物に『イエス』と言わせたら、サーカスの入団テストは合格。ふふふ、ナメられたものね。子ウサギ一羽? いくら私が駆け出しでも、村では人間のオスどもをブヒブヒ鳴かせてたのよ? 鞭一本あればこんな小動物相手、さあ。鳴きなさいウサギちゃん。って、どうやったらウサギが『イエス』なんて鳴くのよぉ」

狙い

冒頭の違和感のまま台本が始まり、最終的にはお前が泣くんかいというオチの構成。「ナメられたものね」「子ウサギ一羽?」「いくら私が駆け出しでも」と短文でリズムを作ってからの「あれ? この初心者ズレてない?」という台詞で中間にもオチをつけることができる。「さあ鳴きなさいウサギちゃん」は明確に相手に語りかける台詞なので、しっかりと対象を意識しつつ自分の色を出していける形であり、そして挑戦(自信)→失敗(喪失)の落差を表現できるという配置。鞭を振るう動作をどこで入れるかもしっかり考えたい(途中で愚痴りながら振る、ウサギに振る、最後にやけくそ振る、など)


肉食動物相手

「ライオンさん。あそこに吊るされているお肉にジャンプよ。噛みちぎりなさい。ちょっと。なんなのよそのやる気のなさは。ほら、行きなさい。行きなさいったら。もう。わかる? あそこの(走る)、ほらここ。ここにあるお肉を、ってちょっと来ないで来ないで、来るな。私はお肉じゃない」

狙い

行きなさい→来るな。というすぐに真反対のことを言う構図。走る動作。ライオンやお肉との距離感。緊迫感。「私はお肉じゃない」というパワーワード。肉に「お」をつけるキャラ性。このあたりをしっかり活かしたい。あえて「来ないで、来るな」以前をやる気のないように演じて「いやお前もやる気ないんかーい」という演出をしてみても。全体的に短文での構成になっているので、テンポの作り方で技量が試される。


大動物相手

「右足を前に。そう、偉いわよ。次、左! 右! 左! おまえの巨体には、私の鞭なんてそよ風も同然かしら。右足、左足、ストップ! だけど、おまえは本当にいい子ね。まるでこの鞭が首に繋がっているよう。だから、リハーサルでサーカステントを倒した責任が私のせいになってるのよ。おまえも一緒にご飯抜きよ。……たまには反発しなさい!」

狙い

美女と巨獣は様式美(ですよね!)。軍隊のように号令の緊張感と、語りが交互に来ることでギャップを出す前半。そして前半との後半で出る人間味。そのギャップを楽しむ台本。号令の距離感で、動物のサイズ感を演出することも忘れずに。


多動物相手

「バード3号右へ。バード8号は前、バード14号は左、あっバード24号じゃなくて、ちょっと10号どこにいくの、いや15号おまえじゃなくてね、ひぃ、ふぅ、みぃ、もう! 鞭一本で、カラス100羽をどうやってコントロールしろっていうのよ。やってられるカーッ!」

狙い

しっちゃかめっちゃか。最後はカラスの鳴き声とかけている。鞭を空ぶる動作を入れてみてもよいかも(難易度はすこぶる高いが)


← ひとり用台本に戻る

← 台本置き場に戻る